先行研究で残っている課題の一つとして,転がり運動の初期姿勢を作るのに 必要である,倒立制御問題がある.本論文では,この動作を実現するためにま ず Denguribot を倒立した状態で静止させる,姿勢安定化制御を行うことを目的 とする. Denguribot を単純化したモデルである Acrobot に対する姿勢安定化手 法として,当研究室の斎藤により示された時間軸変換を用いた厳密な線形化手 法がある.本論文では厳密に線形化した Acrobot に対して,サーボ系を組むこ とにより Denguribot の安定化と姿勢の制御の実現を目指す. また倒れた状態から姿勢を安定化させ転がり運動を行うためには,起き上が り運動によって姿勢安定化に必要なエネルギーまで増加させる必要がある.そ こで井口の提案したエネルギーパンピング制御則に基づくポアンカレ断面上に おける PI 制御による新たなエネルギー制御則を提案する. 以上に示した制御則を用いてシミュレーションを行い,姿勢安定化および起き 上がりを実現できることを確認し,実験環境での姿勢安定化制御の検証を行った.

  • 石川恭兵,関口和真,三平満司, "ポアンカレ断面上におけるPI制御を用いたDenguribotの起き上がり安定化制御", 第56回システム制御情報学会研究発表講演会-SCI'12-, 2012