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本研究では, 4 ロータ飛行体の構造と制御点の間の関係を考察する. 現在, 4 ロータ飛行体の工学的・学術的応用が期待されており,搭載したカメラによる撮影や, 人や貨物の運搬など多岐にわたる研究が行われている. しかし, 4 ロータ飛行体の構造について考察されている研究は少ない. また,ほとんどの研究は 4 ロータ飛行体の重心を制御点として考察しており, 上記のカメラや人,貨物の位置は考えられていない.

そこで,本研究では重心以外の制御点および様々な構造に対して, 4 ロータ飛行体の挙動の変化をシミュレーションにより考察する. まず,構造と制御点を考慮したシミュレーションのための準備として,ロータの位置,傾き, 制御点をパラメータにもつ 4 ロータ飛行体の状態方程式を導出する. つぎに,代表的な制御手法である出力零化制御と LQ 最適制御の 2 つを用いて挙動の変化を考察する. 1 つ目の手法では,制御位置の座標を出力関数にとり, 厳密な線形化および出力零化制御を行うことで生じるゼロダイナミクスの安定性を調べる. ここでは,ゼロダイナミクスの特徴についても注目し,その物理的意味に関する考察を行う. 2 つ目の手法では,システムを 1 次近似により線形化し, LQ 最適制御を行ったときのシミュレーション結果から, 4 ロータ飛行体の構造が挙動に与える影響を考察する. ここでは,制御点のほかに初期状態についても複数の値を設定することで,状況に応じた挙動についても考える. 最後に,本研究で得られた結果をもとに構造による挙動の変化を整理し, 4 ロータ飛行体の構造最適化の可能性について述べる.